思秋期 バンザイ!~人生下り坂を楽しむブログ~

旦那と一人の娘がいる50代なかばの獣医師。自分の好きなことを好きなだけやってきた。 子育てもひと段落。自分時間が持てるようになって、人生下り坂を楽しもう!思秋期 バンザイ!

動物園の獣医さん : ゾウさんに認めてもらうには?ゾウさんと対峙する…

時間を作ってはゾウさんの運動場に

足を運んでいた

 

その日も

ゾウさんに慣れるために

運動場入っていた

 

オスのゾウさんが、またこの人間が来たな!

と思ったかは、わからないが

寄って来た

 

 

出来るだけ

その大きな体をかわしながら

ゾウさんの体をポンポンなでていた時のこと

 

オスのゾウさんは

スーッと、頭を下げたかと思うと

私の右足に

その長い鼻をからめてきた

 

長い鼻で

私の足は巻きつかれ、動けなくなった

 

 

ゾウさんの右の目と目が合う

 

このまま、鼻を外さずブン!と

放り投げられたらひとたまりもない

私は、その場に凍りついた

 

ゾウさんのキーパーさんは

向こうの方で、掃除をしているので

気がついていない

 

これは、自分で何とかしなければ…

 

ゾウさんの目をにらみつけ

 

「お前、何をするんじゃ!

    放り投げるんじゃないぞ!」

 

と、念を送るのが精一杯!

自分が、ゾウさんに放り投げられる姿が脳裏に浮ぶ

 

ゾウさんも、ジーと私の目を見ていた

何を考えているか

その目からは、うかがえない

全神経を集中して

目と目を合わせそらさないように

にらみつける

 

ほんの数秒の時間だったかもしれないが

私にとっては、永遠続くような長い時間に感じた

 

「ふっ」

 

ゾウさんの表情がゆるんだか?と思ったら

 

オスのゾウさんは

 

スーーと鼻を離してくれた

 

ゾウさんは、どう思ってそんなことをしたかは

分からない

私を試していたのかもしれない

 

この時の事を

ゾウさん担当のキーパーさんに聞いてみた

 

「こんな時、どうしたら良いのか?」

 

「ゾウさんの目でも何でも、たたいて

   鼻を離してもらうしかない」

 

との返答

 

果たして、それで上手くいったかどうかは

今となっては

分からない

しかし、何事も無くて命びろいした思いだった 

 

ゾウさんは

キーパーさんを順位付けする

 

 長年ゾウさんにたずさわった

キーパーさんが一番

その次に、この人が二番

この新人は三番と

人間を順位づけする

 

人間の方も

慣れないうちは

分からなので、不安になった時

どうしても、目の前のゾウさんよりも

ベテランキーパーさんを

気にしてしまう事がある

そのスキを、ゾウさんは見逃さない

 

たしかに

動物は、外敵に出くわした時

全神経を集中し対峙する

 

誰か

助けてくれる人がいないか

なんて探さない

 

そばにいる人の

顔色なんて、伺わない

 

一対一の命の削りあい

 

この気持ちがあるかないかが

重要なのではないかと感じた

 

ゾウさんとの関わりを持つ中で

その事をしっかりと認識して

自分とゾウさんとの関係を

他人ではなく自分で

きずいていくしかないと感じた

 

 

 

 

 

思秋期 バンザイ!

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