思秋期 バンザイ!~人生下り坂を楽しむブログ~

旦那と一人の娘がいる50代なかばの獣医師。自分の好きなことを好きなだけやってきた。 子育てもひと段落。自分時間が持てるようになって、人生下り坂を楽しもう!思秋期 バンザイ!

動物園の獣医さん : ゾウさんに認めてもらうには?収容に立ち会う

ゾウさんに

自分という人間を

すこしでも認めてもらうために

収容時には出来るだけ

立ち会うことになった

 

動物園では

閉園間際になると…

 

ほとんどの動物達は

脱走や危険防止のために

建物の中の寝室へ帰る

 

そして

 

その寝室の中でエサをもらえるため

時間になると

動物達は寝室への入口の前で

 

ウロウロ、ウロウロ

 

ガラッと

寝室の扉が開くやいなや

動物達は、自分の寝室へまっしぐら

 

エサの効果は抜群だ

 

閉園間際の動物園は

動物たちの、動きが活発になる

お腹が空いて早くエサにありつきたいためだ

 

来園者からすると

寝室の戸の前で

お尻ばかり見せてくれる動物には

ちょっと残念なんだろうけど…

 

そこのゾウさん達も

閉園30分前になると

寝室の扉の前を

 

ウロウロウロウロ

 

ゾウ舎の扉には

太い鉄骨で出来たパイプが取り付けられ

ゾウさんの侵入を防いでいた

 

収容時には

キーパーさんが

ゾウさんの横に立ち

待てをしている

 

ゾウさんが、パイプが上がりきらないうちに

寝室へ突っ込んで、ケガをしないように

 

ゾウさんもその指示に従っていた

 

一人が

パイプ上昇のスイッチを押す

 

「開けまぁーす!」

 

ウィーーーーン

 

ゆっくりパイプは上昇

 

トン

 

最後まで開くと

 

ゾウさんについていたキーパーさんが

 

「さあ、行こか!」

 

という合図に

ゾウさんとキーパーさんは

ユックリと寝室に入ってくる

 

ゾウさんが、入ったのを確認して

自動パイプを降ろす

 

ウィーーーーン

 

寝室に入ったゾウさんは

寝室の中で

ぐるりと回転し

後ずさりをしながら

うしろの柵までバックする

 

そこには

後ろ足を繋留するための鎖があり

その場所にくると

ゾウさんは

片足をヒョイッと上げてくれる

柵の外で待機している

キーパーさんが

その片足に鎖を巻きつける

 

ジャラジャラ、カチッ

 

ポンポン

足をたたくとオッケーの合図

 

足を下ろして、前進する

 

今度は、片方の前足に繋留の鎖

 

ジャラジャラ、カチッ

ポンポン

 

 

これが終わると

ヨシッ

の合図でエサにありつける

 

この収容に

 

毎日、立ち会う

 

これだけで

ゾウさんは

私を認めてくれるのだろうか?

と、思いながらも

立ち合っていた

 

しかし

 

ゾウさんからしたら

「この人間は、収容の時や

   自分達の運動場にもくるやつだ」

と、思ってくれたら大成功

 

私も

「この人間は

   病気の時だけやってきて

   痛いことだけしていく、嫌なヤツ」

と思われたくない

 

こちらも、必死だった

 

ゾウさんとの関係は

だれでもない

自分自身が作っていかなくてはならない

 

ゾウさん担当のキーパーさんが

ゾウさんに

「この人は、獣医さんだからね〜」

なんて話しても

ゾウさんには分からないのである

 

出来るだけ毎日

 

園内をゾウ舎に向かって

走る日々だった

 

収容の時間に間に合うように

 

 

 

 

思秋期 バンザイ!

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