思秋期 バンザイ!~人生下り坂を楽しむブログ~

旦那と一人の娘がいる50代なかばの獣医師。自分の好きなことを好きなだけやってきた。 子育てもひと段落。自分時間が持てるようになって、人生下り坂を楽しもう!思秋期 バンザイ!

動物園の獣医さん : ヘビさんの脱皮した脱けがらをパウチ

ある日、爬虫類担当のキーパーさんが

4メートルある

アフリカニシキヘビさんの

脱皮した皮を持ってきた

 

「キレイに、脱皮した皮が

    とれたので

    展示に使いたいので

    パウチにできますか?」

 

と、脱皮した脱けがらの塊を手渡された

 

 

動物園のキーパーさん達は

自分達の動物をより魅力的に

来園者にみてもらえるように

 

手作りの案内板やイラスト

動物のマメ知識、動物紹介を作っている

 

それを、獣医さん達も手伝っていた

 

それぞれに工夫を照らし

自分の担当どうぶつの魅力を

アピールしている

 

しかし、ヘビさんの脱皮のパウチ?

どうやって、作ったらいいか?

そんなもん、作ったことはない

しかし、小学生の時

押し花を作った経験がある

そこで

押し花の要領で、作業開始!

 

 

ところで

ヘビさんの脱皮した

脱けがらを、見たことある?

きれいに

ストッキングを脱ぐように

スルッと、脱げている

眼の部分も、きれいに脱皮しているのである

 

せっかくの、きれいな脱けがら

破かないように広げなければならない

 

しかも、長さは4メートルある

 

まずは

 

手渡された脱けがらの塊を

水に濡らし、汚れを取り除きながら

くっついているところを少しずつ

キレイに剥がしていく

 

動物園の動物病院は

建物の真ん中に長い廊下があった

その廊下に、這いつくばって

広げていく

その長さは、廊下の3分の2の長さを占領した

 

次に

 

脱けがらのお腹側を切って

サンマの開きの様に広げていく

ていねいに、ていねいに

 

その後

 

押し花を作る要領で新聞紙にはさみ

シワが出来ない様に

本を上に乗せてしばらく放置する

 

なにぶん、4メートルもの長さ

病院内の廊下は

押し花ならぬ、押しヘビが見事に占領

 

その長さを乗り切った満足感に浸りながら

病院に来た人に

 

「踏まないでねーー」

 

と声をかけた

 

 

数日後

 

キレイに広がり平らになった脱けがら

 

今度は、パウチ

 

ロール巻きのラミネートフィルムがあったので

紙の上に広げ、キレイにパウチしていった

 

こんなに長いシーラーはないため

アイロンを使って

シワにならない様に

ていねいに、ていねいに

 

自分の洋服は

アイロンがけなんてした事ないのに

こういう時は、楽しんで出来てしまう

不思議だよね

 

そして

 

完成!

 

見事にきれいに広がった

アフリカニシキヘビさんの

4メートルもの

見事な脱皮の標本が出来上がった 

 

さっそく、その標本は

アフリカニシキヘビさんの部屋の前に置かれた

 

普段、ヘビさんは

とぐろを巻いていたり

くねくね曲がっているため

その長さの感覚は分かりにくい

 

実際に、きれいに伸ばしてみると

その4メートルもの長さが見事に

来園者に実感してもらえたのである

 

ヘビさん担当のキーパーさんからも

来園者に、好評だと

嬉しい言葉の報告をもらった

 

 

動物園を辞めて

動物園を久しぶりに訪れた時のこと…

 

ヘビさんの展示を見に行くと

この標本が、まだ展示されていた

 

嬉しさとともによく見てみると…

 

そのヘビさんの脱けがらの

真ん中あたりの皮が

破けて無くなっていた

 

ヘビさんの脱けがらを

財布に入れておくと

お金が貯まるという迷信があるが

 

それを

持ち帰って財布に入れていた人がいたら

今頃その人は

大金持ちになっていたらいいなぁ~

なんて思いながら

 

 

 

 

思秋期 バンザイ!

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