一件の診察が終わり
次の患者さんが呼ばれた
「◯◯さん、どうぞー」
リードにつながれた
ミックス犬のワンちゃんが
嬉しそうにシッポを振りながら
診察室に入って来た
ちょっと、テリア犬が入っている
薄茶色の長毛
約7kgぐらいのワンちゃんだ
その口に
黄緑色のプラスチック製の
食器をくわえている
その姿が可愛らしい…
「ワンちゃん、今日はどうしましたか?」
「食器が、歯にはさまって取れなくなって…」
「えっ?自分でくわえてるのでは無いのですか?」
「家で、取ろうとしても、取らせてくれないんです。」
診察台に乗ってもらい
よく観察すると…
くわえている食器の一部に穴が開いている
そこの穴に下顎の犬歯までが
カパッとはさまっている
おかげで、そのワンちゃんは
ただ単に、食器をくわえているように見える
動物看護師さんに、暴れないように
しっかりとおさえてもらう
性格の良いワンちゃんで
じっとしている
下顎の、犬歯の角度に沿って
お皿を穴の角度に合わせて引っ張った
カパッ
少し抵抗は、あったものの直ぐに取れた
一同、拍手!
「この食器は、もう使わないで下さいね。」
飼い主さんもホッとしたようで
「ありがとうございました」
と、嬉しそうに帰っていった
そして、次の日…
診察室に入って来たのは
また、同じように同じ食器をくわえたワンちゃんの姿!
「食器を、変えてくださいと言っていたのですが
まだ、使っていたのですか?」
「違います、ちゃんと食器を変えていましたが
棚の上に、取れないだろうと置いていたものを
いつのまにか、くわえてしまって…」
飼い主さんは、すまなそうに話してくれた
しかし、当の本人のワンちゃんはどこか嬉しそう
同じように、食器を外してあげると
またもや、嬉しそうに帰っていった
よっぽど、お気に入りの
食器だったんだね!
ちょっと笑える、診察室の一コマだった
アイキャッチ・イラスト: まゆたろうさん
思秋期 バンザイ!
~人生下り坂を楽しむブログ~