かれこれ30年以上前になるが...
私が、大学生だったとき
思い立って青森から北海道へ
オートバイで
女ひとりキャンプ旅に出かけた
ほとんどは
美瑛の民宿で居候となったのだが
北海道で過ごした2週間の日々は
刺激的だった
ここらでブログにまとめておこう
あやふやのところがあり
果たして思い出せるか…
- 北海道への思い
大学は、青森県十和田市。ここで、大学2年からの大学院2年までの5年間過ごした。山口県出身の動物大好き、自然大好き人間の自分にとって、東北青森の自然は本当に魅力的だった。
大学2年の時、移動手段は主にロードサイクル。しかし、もっと遠くにいきたい。貧乏学生にとって、安く移動距離をかせぎたい…となるとオートバイである。
免許を取得。友人からヤマハのDT125のオフロードバイクを、約2万円で手にいれた。
暇を見つけては八甲田山、奥入瀬、小川原湖、下北半島など、様々な所へ出かけ夢中になって写真を撮っていた。
行動範囲が広がると、段々と遠出がしたくなる。なんせ、海を隔てた向こうには、自然の宝庫と言われる北海道。その頃、写真家の前田真三氏が、北海道美瑛の丘を撮った写真集が話題になっていた。旭岳をバックに広大な丘がひろがっている。パッチワ-クのような丘の写真。実際に、見てみたい。自分もここで、撮影したい。いつしか、北海道への旅の計画を着々とたてていた。
その頃、オートバイに乗って旅行する人達を、ミツバチ族と言っていた。オートバイでブンブンいわせてミツバチのように走るから…
オ-トバイで、自由気ままに北海道ひとり旅。予算はほとんど無いため、安く上げるにはキャンプしかない。そう、野宿。その頃、山登りにも夢中になっていたため、キャンプ用品は全てそろっていた。
あとは、決行あるのみ。しかし、うら若き乙女?が北海道で一人旅?親は許してくれそうに無い。しかし、まじめな自分は親の承諾はとりたい。毎日のように電話で交渉をして、やっと出発前日に了解を得られた。しかし、最後まで親には野宿のことは言えなかった...
- いざ、北海道へ!
大学4年の夏休み、十和田市のアパ-トを出発する。一路、北へ!
下北半島を、北上し大間崎からフェリ-で函館に渡る。
憧れの北海道に到着。雄大な景色をひと時でも早く体験したくて、そのまま、函館を通り過ぎ洞爺湖まで距離を稼ぐ。
親の手前、洞爺湖では安い旅館に泊まった。偶然にもその日、洞爺湖花火大会があり、湖面に映るきれいな花火を見た記憶がある。
- 初・野宿!留萌の海岸
次の日、支笏湖の少し北にあるオコタンペ湖を見に行く。観光地化されていない湖をみたかった。その小さな湖には、舗装されていない原生林を歩いて行く。その小道でシマリスに遭遇した。初シマリス遭遇!クマザサの間を走って行った。
バイクをおいて15分も歩かないところに、ひっそりと静まりかえったオコタンペ湖はあった。そこには、もちろん自分ひとりだけ。
森の中に入った人はわかるかもしれないが、けっこう森の中はしーーーんとして静かなものだ。大自然に囲まれて一人でいると、自分の存在の小ささのためか、だんだんと恐くなってくる。いつも、大自然に入ると感じる、この感覚はえもいえぬ貴重なものだ。もう少し、滞在したかったが、でかい蚊の攻撃がしつこいので、湖をあとに。
札幌をスル-し、夕陽がきれいといわれる留萌の海岸に、テントを張ることにした。残念ながら、モヤのため、きれいな夕陽は望めなかったように思う。
北海道の夏休み。留萌の海岸は、思っていた以上に海水浴客のテントが張られ賑わっていた。北海道民は、キャンプしながら海水浴をするのか!さすが、自然派な人達だ。などと感心したのを覚えている。
さて、何処にテントを張るか?一人旅で少々不安にかられ、安心してキャンプ出来るところはと、辺りを見回した。小学生ぐらいの子供連れの家族が、仲良くバ-ベキュ-をしている。そこに近づき
「となり、テント張ってもいいですか?」声をかける。
少々不振そうに見られたが、
「良いですよ」と、快い返事。
どこから?え-ひとりで!動物のお医者さんの卵ですね。などと、お話をする。
インスタントラ-メンを作っていると、どうぞ食べてと、バ-ベキュ-の肉や野菜をわけてくれた。ありがたくて、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。そして、幸せな気持ちで眠りにつく。
- へそ曲がりコ-ス、オホ-ツク海へ出る。
朝、早くテントをたたんでいると、隣のテントから家族が出てきた。お礼をのべて、さらに北上。サロベツ原野を見たように思う。このあたりは、あまり覚えていない。このコ-スなら、当然、宗谷岬?だろうと、皆さんも思うが、自分は結構へそ曲がりの性格のようだ。宗谷岬に行かず、途中からオホ-ツク海の村、猿払村へ出た。そのまま、宗谷岬の地を踏まず南下した。次回、また北海道を訪れた時のためにとっておこうと...
クッチャロ湖の湖畔にあるキャンプ場は、閑散としていて、三日目の夜は孤独に過ごす。
- 素朴な原野、サロマ湖でキタキツネに遭遇
当時、自分のアパ-トの隣に北海道の同級生が住んでいた。紋別の出身だった。彼女は北海道は嫌いだといって、鹿児島県庁に就職した。北海道へ行くことを話すと、サロマ湖が近くにあり、自然がたくさんあるから行ってみると良いと、教えてくれた。
サロマ湖では、ほんとうにきれいなキタキツネを見た。湖畔の湿地の草むらで黄金色のキタキツネが、ぴょん、ぴょ-んとはねながら湿地に消えていった。今でも、その映像はまぶたに残っている。
- 美瑛の民宿「ほおずき」での居候の日々
この旅の一番の目的地に入った時は、あいにくの雨だった。ここまでの、バイク旅で少々疲れたのもあり、チョットしたきっかけで居候のように一軒の民宿に、連泊するようになる。その民宿の名前は、「ほおずき」さん。ご主人は、皆から「はちさん」と呼ばれ慕われていた。
写真を撮るのは日の出、そして、日の入りの斜光線が良い。その時間に、ゴソゴソ起き出すと、ほかの宿泊客の迷惑になる。そこで、庭においているワンボックスカ-が自分の宿泊場所となった。
- 旭岳に登山。谷間の中岳温泉に入浴
ほおずきの宿泊客のおじさん、ひとり旅の保育士さんと一緒に、旭岳に登ることになった。
ロープウェイで一気に、旭岳の懐に。そこは、神々が遊ぶ庭にふさわしい、お花畑がみたことのない規模で広がっていた。
途中の山の中の中岳温泉で、素っ裸になり湯につかる。温泉の看板のみの野湯である。小屋なし、脱衣場なし蛇口なし。湯の調節は、川の水をスコップで引き込む。両側に切り立った山。すぐ横の岩場では、ナキウサギが鳴いている。最高のロケーションだった。
- 意外な結末。親からの帰宅命令。
民宿「ほおずき」を拠点に、日の出、日の入りを中心に写真を撮る日々が続いた。
民宿に連泊のため、親への連絡はさぼっていた。このため、親の逆鱗にふれ、旅行は急きょ終了となる。
下宿のある、十和田市へと帰らねばならなくなった。
- 北海道、バイクひとり旅を終え
見ず知らずの自分に対して、親身になってくれたはちさん、みちこさん、その子供の美里ちゃん。そこで働くバイトさん。民宿で知り合った旅人達。
若さだけで、やりたいという気持ちだけで、なんでもかんでもやって来た。
今になっては、いい思い出である。
その経験は、やったものにしかわからない。
北海道美瑛の民宿「ほおずき」での日々は、
いまでも、自分の中の重要な起点となっている。
また、ほおずきに行きたいと思いながら月日は流れ、ようやく4年前に、約30年ぶりに訪れることができた。
学生の時に泊まった場所から移転していたが
美瑛の丘が一望できる最高の場所に
「ほおずき」はあった。
はちさん、みちこさんはあたたかく迎えてくれた。美瑛の丘、旭岳の山々は相変わらず雄大で、そこにいるだけで胸が一杯になった。
別れの時に涙が出た…
若い時に経験したこと、やりたくてできなかったことを、また、思秋期と言われる今、やりたくなってきている。
甘酸っぱい青春の日々とは、別物かもしれないが...
アイキャッチ・イラスト: いかさん
思秋期 バンザイ!
~人生下り坂を楽しむブログ~