思秋期 バンザイ!~人生下り坂を楽しむブログ~

旦那と一人の娘がいる50代なかばの獣医師。自分の好きなことを好きなだけやってきた。 子育てもひと段落。自分時間が持てるようになって、人生下り坂を楽しもう!思秋期 バンザイ!

動物病院、安楽死を考える。安楽死となった幸せなイヌの一生。

f:id:OgumakiVet:20190110145345j:plain


動物病院をやっていると、

動物の命を奪う安楽死に立ち会うことがある。

人間では、認められていないが、動物ではこの安楽死を行う場合がある。

自分の病院は、飼い主さんと十分に納得の上で安楽死を実施している。

その、安楽死をするという賛否は色々あるが。

今回、安楽死となったが、

幸せなイヌの一生に立ち会えたと、思う瞬間があった。

 

 

15歳の老犬

 

そのイヌは、15歳のメスの柴犬。

日本犬なのでキツイ性格のこも多い。

しかし、この犬は性格がよく、おっとりしており

かわいいこだった。

 

数ヶ月ぶりに、飼い主さんに連れてこられた

診察台の上に乗ったイヌは、

あきらかにお腹がボッテと膨らんでいる。

いつも通り、症状、経過、体重、体温、触診、聴診。

さらに、よりくわしく病状の把握をするため、検査をした。

 

 

そして、 検査の結果がでた。

 

 

血液検査の数値をみる限りでは、回復には望みがない数字が示されていた。

 

重大な肝疾患をかかえ、黄疸もでていた。

お腹には腹水もたまっている。

 

飼い主さんに、十分に病状を説明する。

 

その上で、治療をすることになった。

 

元気になってもらうように望みをかけて治療をする。

家でも薬を飲ませてもらう。

次の日も、来てもらう。

そして、次の日も…次の日も...

 

しかし、誰が見てもそのイヌは、日に日に弱っていった。

次の日、飼い主さんとそのイヌは来なかった。

 

二日あいた後、飼い主さんは夫婦そろって、そのイヌを連れてきた。

そのイヌは、横たわったまま、あえぎ呼吸。首を持ち上げる力もない。

 

f:id:OgumakiVet:20190110145455j:plain


 昨晩は、嘔吐、下痢がひっきりなしに続き、苦しむそのイヌの横で

飼い主さんはつきっきりで一睡もせずに看病していたようだ。

明け方になると、下痢は多量の血が混じっていたという。

 

しかし、横たわったそのイヌはどこにも汚れておらず、においも無い。

手厚い看病がされていたことが、そのイヌを見ただけでわかる。

 

そして、飼い主さんは、

 

「先生、このこを楽にしてあげてください。」

 

 

楽にする

 

この言葉の意味には、二つある。

 

一つは、

           治療により少しでも病状を緩和して、

           楽にしてあげる方法。

もう一つは、

           安楽死で苦しみをのぞいて、

           楽にしてあげる方法。

 

飼い主さんは、その意味を十分理解して、後者を選んだ。

そのイヌに、安楽死で楽にしてほしいと・・・・

 

f:id:OgumakiVet:20190110145523j:plain


 

自分が、安楽死をするために麻酔薬をシリンジに入れていると、

その背後で飼い主さんが、横たわったイヌの頭を撫でながら、そのイヌに

        

                   楽しかったよー

     先に、あっちで待っててね

        ぼくも、後から行くから

        また、一緒にあそぼうな

 

 

今まで、イヌの安楽死に何頭も立ち会ってきた。

しかし、このような言葉を安楽死をする動物にかける飼い主さんはいなかった。

 

 

安楽死を選択するということ

 

安楽死を選択するということは、飼い主さんにとって罪悪感を感じさせ、

後ろめたい気持ちにさせてしまう。

そのため、飼い主さんが、安楽死される動物に話しかける言葉は

   

 

     ごめんね。ごめんね。

 

 

と、謝る言葉ばかりだった。

 

 

ひとつの命を、ひとの手でうばう。

そのことだけで、飼い主さんは罪悪感を感じ、動物に対し謝る言葉をかける。

 

 

 

動物を飼うということ

 

動物をペットとして飼うということは、その命を管理するということ。

 

エサをあげなければ、死んでしまうし、

予防をしなければ病気になる。

 

ひとむかしは、10年過ぎたら長生き、だった。

 

しかし今は、予防、フ-ド、飼い主さんの意識の向上もあり、

人と同様ペットの寿命ものびている。

イヌやネコは、14~15歳はあたりまえ。20歳以上も生きるものもいる。

 

その長いペットとの生活の中で、飼い主さんの時間をさいて世話をしなければ、

そのペットの世話をしてくれる人は誰もいない。

 

お互いに楽しくもあり、苦しくもなる。

動物を、飼うということは大変なことだ。

 

その中で、そのイヌの最後に、飼い主さんは

 

 

     楽しかったよ。ありがとな。

 

 

という感謝の言葉をかけた。

 

幸せな、イヌの最後だったと思う

 

f:id:OgumakiVet:20190110145555j:plain

 

 

追記

このブログの挿し絵として、ちぎり絵をおたむちゃんに作ってもらいました。

内容が深刻なので、優しい雰囲気のちぎり絵で、読む人が癒されることを望みます。

素敵なちぎり絵を、ありがとうございました。

twitter.com

 


そして

すべての飼い主さんと、動物達が幸せであることを願っています。

 

 

 

 

 

 思秋期 バンザイ!

~人生下り坂を楽しむブログ~